サンデル教授の「ハーバード白熱教室」
8月30日の朝日新聞に,ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が8月25日に東京大学で行った特別講義の模様を報じる記事がありました。約1000人が参加して,ディスカッションを行う模様を,臨場感あふれる文章で伝えていて,私も大変興味を持ちました。
サンデル教授は,ハーバード大学で政治哲学を教えており,justice(正義)についての講義を30年近く行っているそうです。その講義は,「ハーバード白熱教室」と呼ばれ,ハーバード大学で大変な人気のある講義で,今年4月からNHKでも大学での講義の模様が放映されました(私は残念ながら観ていませんが)。
「何が正義か?何が公正か?」という問題はとても興味深いと思います。「イチローの高い年俸はフェアか?」など,立てられる設問はとても興味を引きます。
また,サンデル教授の講義の人気の理由は,その講義の進め方にあるようです。一方的なレクチャーではなく,参加者との対話によって進められます。そのプロセスの中で,参加者は,共に考え,新たな考えを生み出していくようです。
私は,この記事がとても面白かったので,家に帰ってさわりん(妻)に,「これ,面白いよ。」って,読んでもらいました。さわりんもちょっと面白いと思ったらしく,「こどもたちとディスカッションをしてみよう」と言い出しました。
中学生の2人の娘(もえ,ひな)が招集され,その場で,正義についてのディスカッションをすることになりました。
「漂流ボートでの殺人は許されるか」「19世紀の英国での話をしよう。難破船の船長と乗組員3人が漂流した。雑用係の少年が衰弱している。食料がなくなり,船長は『誰かを食べよう』と提案した。船長は少年を殺し,3人は彼の血と肉で命をつないだ。3人は救助されたが,帰国後に逮捕された。 みなさんが裁判官なら,この場面で少年を殺すことは道徳的に許されると判断するだろうか。」というテーマ
もえ・ひな: えー!食べるのー!いやや。
私: でも食べへんかったら自分が死んでしまうんやで。
もえ・ひな: 少年が死んでたらしょうがないけど,殺すのはあかんのちゃう?
私: 自分が死んでしまうんやで。
もえ: そやな。4人いて,その少年が死ぬことで3人が生き残るんやったら,そのほうがいいんちゃう。
私: そういう考え方はあるね。「最大多数の最大幸福」という。幸福の合計が多いほうがより良いという考え方ね。
ひな: やっぱり殺すのはあかんやろ。
さわりん: 正当防衛はないの?自分が殺されそうになったらそのまま殺される?
ひな: それは,相手が襲ってきてるからやん。相手が何も悪くないのに殺したらあかんやろ。
私: ひなは,相手が悪くないのに,こちらの都合で殺すというのはあかんっていうことなんやね。でも,自分も死んじゃうよ。
ひな: それでもあかんわ。少年がかわいそうやん。
もえ: 船長が勝手に決めるっていうのはあかんのちゃうかな。自分から「私を食べて」っていうならいいけど。
私: 4人の間で,だれか1人が犠牲になるということについては合意してたらどう?
さわりん: 選び方の問題ね。
私: どう選ぶのが公正か?っていうこと。くじ引きはどう?
さわりん: くじ引きやと,戦力にならない人が残って,結局全員死んでしまうかも。
私: 多数決っていうのは?
さわりん: 多数決やったら,衰弱してる少年を犠牲にすることになっちゃうんじゃない?それがわかってたら少年は多数決っていう決め方に同意せえへんと思うわ。
私: 政治は多数決だけどね…
とか。
子ども達も少しは知的な刺激を受けたらしく,「もっと問題ないの?」とか言ってました。
わが子ながら,意外によく考えているのに感心しました。
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