ADR関連でもあります。
「子どもの心のコーチング」(菅原裕子著・PHP文庫)を読みました。
菅原さんは,「ハートフルコミュニケーション」というNPO法人の代表理事を務めておられます。
http://ys-comm.co.jp/heartfulcommunication.html
「私たち親が自分と子の「生きる力」をどう引きだすかを考える場、
そして、日々のコミュニケーションにおいて親が子をどう受け止めるかを学ぶ場を、
ハートフルコミュニケーションは提供します。」
という活動のようです。
「子どもの心のコーチング」も,そんな子育ての本です。
私には,中学1年生の双子と,4歳の,3人の子ども(全部女の子)がおります。子育てに,特に悩んでいるというわけではありませんが,子どもをどうそだてるかということには大いに関心があります。また,「コーチング」については,私はあまり知識はありませんが,ミディエーションと近い距離にあるという認識はあります。
そんなんで,この本を手に取りました。
「第4章 心を結ぶ聴き方・伝え方」で述べられている,「聴く技術」は,ミディエーションでの「傾聴」や「ブレーンストーミング」と共通するもので,私には馴染みやすいものでした。内容は省略します。
今回は,親=子育て実践者として,刺激を受けましたので,それを書き留めておきます。
私がこの本で特に学んだのは,「ヘルプ」でなく「サポート」をすること,責任=「反応する能力」を教えること,「叱る」ことをやめて「人の役に立つ喜び」を教えること,でした。
1 「ヘルプ」でなく「サポート」すること
菅原さんは,親の役割は,子どもを自立させる「サポート」をすることであると書いています。代りにやってあげるのが「ヘルプ」,できるようになるように援助してあげるのが「サポート」です。赤ちゃんのときは,親は完全な保護者で,「ヘルプ」しなければならないが,少し大きくなれば,「サポート」に移行していくことが必要だ。「ヘルプ」は,子どもの自立の邪魔をしてしまう。ということです。
確かにそうですね。また,言葉にすると簡単なようですが,今していることが,「ヘルプ」なのか「サポート」なのかということに自覚的であることが必要だなと思います。
私は,特に下の子への接し方として,周りから「甘いなー」と言われます。批判を込めた評価ですが,私自身はあまり素直に受け入れることはできておりません。しかし,その時,その時の子どもへの接し方として,これは「ヘルプ」なのか「サポート」なのか,見極めていかなきゃいけないなと思いました。
2 子どもに教えたい3つの力
菅原さんによると,親が子どもに教えるのは,「愛すること」,「責任」,「人の役に立つ喜び」だそうです。
親が子どもを愛するのは,無条件の愛です。子どもは,そこにいるだけで,親に愛される資格がある。親が無条件の愛で包んでやることで,子どもは自分を肯定することができ,自分を好きになることができる。
責任=responssibilityとは,「反応する能力」。日常の反応しなければならないことに対して,積極的に反応すること。自分の行為という原因に対して生じた結果を自分で体験させることで,その能力は育つ。
ほめたり,叱ったりすることでは,子どものやる気は育たない。人の役に立つ喜びは,副作用のないやる気の種。
というようなことです。以下,これについての私の感想です。
・無条件の愛というお話は,以前,臨床心理士の古宮昇さんからも伺ったことがあります。古宮さんの表現によれば,
「○○ちゃん。あなたは,△△ちゃんみたいに勉強もできないけれど,□□ちゃんみたいに運動もできないけれど,☆☆ちゃんみたいに■■できないけれど,…私はあなたのことが一番大切だよ。」
という愛情ということでした。菅原さんが書いておられることと同じ意味だと思います。
古宮さんは,子どもがそういう無条件の愛情を十分に受けていれば,その子は,真に自分自身のために生きることができると仰っていました。それはそうだと思います。
・「責任」を教えるという自覚が,私には薄いのかなと思いました。「甘い」と言われるのもそういうことかもしれませんね。「ヘルプ」と「サポート」の違いがここに出てくるということも言えるでしょう。
・菅原さんは,「叱ること」に否定的です。叱ることが必要なのは,子どもが危険なことをしたときだけで,それ以外は,親の怒りをぶつけているだけだということです。
私は,それまで,「怒るのではなくて,叱ることが必要です。」などという警句を聞いたことがありましたが,「叱る」ことを否定するというのはちょっと意外でした。
菅原さんは,「禁止語と命令語は使わない」と書いていますから,そういうレベルで,強制的に子どもを従わせようとすることを否定しているということですね。
これは,なかなか難しいですが,やってみようと思います。
・ほめるということにも,菅原さんはちょっと否定的ですね。「ほめられるためにする」というような副作用があるといいます。なるほどという感じです。
・「人の役に立つ喜び」を教えるには,子どもが何かをしてくれたときに,それによってどういう気持ちになったかを伝えてあげればよいということです。
「えらいね。」ということではなく,「ありがとう。助かったよ。」とか,こちらがどういう影響を受けたかということを伝えることで,「人の役に立つ喜び」が育っていくということです。
「あなたメッセージ」ではなく,「私メッセージ」ですね。
これはもう,即実践です。なかなか大変ではあるかもしれませんが。
実は,早くも(?)実践の課題が登場しました。
こども園に,決まった時間に登園するという課題です。
みゆ(4歳)は,こども園(保育園と幼稚園が一緒になったもの)に通っていますが,いつも遅刻をしています。いつも「こども園嫌い。」とか言っており,登園の時間をなんとか引き延ばそうとしているのか,毎朝グダグダとしてしまいます。私も,みゆのグダグダに付き合ってしまい,遅刻を容認してしまっておりました。
今朝,担任の先生に,「朝から外で活動することが多くなりますので,もう少し早く登園して下さい。」とダメ出しをされてしまいました。
当たり前のことではありますが,定時に登園するという課題をクリアしなければなりません。
これは,親だけが努力すればできることではなく,みゆ自身に理解してもらい,取り組んでもらわなければいけない問題です。
遅刻をすると,みんながどう困るのか。遅刻しないためにはどうしたらいいのか。今日は,家に帰って,みゆと話し合いをしないといけません。
どうなりますやら?