ADR研修ノート 信頼関係の強さが解決できる課題を決する
12月4日,5日と,近司連主催の,和田直人先生のADRトレーニングがありました。
私は,4日は全日参加でしたが,5日は,ちょっとした事情で1時間半ほどの遅刻での参加となりました。
標記の,「信頼関係の強さが解決できる課題を決する」というのは,和田先生の言葉通りではないですが,というか短い言葉で表現しにくいのですが,今回教わったことでした。
信頼関係が乏しければ,いきなり大きな問題を解決することはできない。でも,小さな課題を解決すれば,それが信頼関係を強くする。そうすれば,そこで解決できる課題もレベルアップする。ミディエーションはその繰り返しだ。ということです。
これは,以前,ロサンゼルスの弁護士で調停人のフォレスト・モステンさんに教わったことと通底しているように思います。
モステンさんは,ミディエーションは「ベイビーステップだ」と言っておられました。焦ってはいけない。一足飛びにはいかない。少しずつ進んでいくのだ。ということです。
和田先生が言っておられたことは,このモステンさんの言葉をより明確にするものと私には受け取れました。ただゆっくりというよりも,信頼関係の度合いに応じてということなのですね。なるほどと思いました。
今回の研修のテーマは,「ケースマネジメント」ということになります。「ケースマネジメント」というのは,狭義のミディエーション(両当事者を交えた話し合いのセッション)以外の全ての課程を指します。申込みの受付をしたり,相手に連絡をとって,期日を設定したり,等々です。
これはとても重要な課程です。それがなければ,ミディエーションは成り立ちません。「調停センター」ということになると,この課程を,だれがどのように担当するかということを決めておく必要があります。
所謂ミディエーショントレーニングというのは,上記の狭義のミディエーションのトレーニングであることがほとんどですので,このケースマネージメントのトレーニングというのは希少です。
1日目のワークは,ケースマネージメントにはどういうものがあるか,それはそれぞれ誰が担当するのが妥当か,ケースマネージャーの権限の範囲はどこまでか,ということについてのグループ討論でした。2日目のメインは,調停の相手方へのファーストコンタクトのロールプレイでした。
1日目のワークでは,調停センターでよくあることとして,ケースマネージャーがミディエーターに介入してしまうということが言われていました。
私自身,言われてみると,そういうことがないわけではありません。ある意味,一番痛い指摘といえるかもしれません。
先日の廣田先生の「紛争解決学」の講義では,紛争解決のために,使えるものは何でも使うという考え方と受け取りました。私の考えも,多分それに近いというか,そちらにシンパシーを感じます。
それは,それでいいと思っていますが,システムとなるとそういうわけにもいかないかもしれません。チームとして仕事をしていく必要がありますからね。所謂トレーニングの「ベテラン」は,それをもっと自覚すべきなのでしょう。
2日目のロールプレイは,1つのロールプレイを半日かけて行われました。ロールプレイ自体の時間も1時間ぐらいとりましたし,振り返りの時間もかなりとりました。
これぐらい時間をとるのは,贅沢ですが,とてもいいと思いました。
「ロールプレイを生かすのは当事者役にかかっている。」「ロールプレイを教材として生かせるかどうかは,観察者にかかっている。」だそうです。
ロールプレイで何を学んだか
私自身は,まず,相手のニーズに応じて話をすること。また,ケースマネージメントでも”傾聴”が大事だということです。ミディエーションの場では意識することが,場面が変わると忘れてしまうということがあります。やはり,ミディエーションの手続きは,全ての課程で同じことが問われるのだなあと思いました。
振り返り,も傾聴です。ロールプレイの感想をじっくり聴くということが,それ自体傾聴のトレーニングだと思います。
しかし,1日目は,このプログラムでは,初学者の方は一体どうなってしまうんだろう?と大変心配しました。ところが不思議なことに(?),2日目もほとんど欠席者はなく,結構みんな集中して取り組んでいるように見えました。2日目終了時には初学者方の評価も上々であったようです。「恐るべし。和田マジック」と,感嘆に近いものを感じました。
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