「世間」
近畿司法書士会連合会のADR運営委員会のほかに,同連合会の学術交流事業としてADRの研究会にも参加しております。大阪大学の仁木恒夫准教授と,司法書士(7人ぐらい)と,阪大の学生さんにも手伝ってもらってやってます。仁木さんは今渡米中ですが。
この研究会で,1月12日に,吉田智弥さんという方をお招きしてお話を伺いました。
吉田さんは,ご自身を,「地方自治の仕事をしている」と紹介されましたが,「蛇行社通信」という個人誌を発行しておられたり,幅広く活動をしておられるようです。研究会のメンバーである奈良の田畑和博さんと永年のお付き合いがあるということで,田畑さんのつてで来ていただきました。
吉田さんのお話,キーワードは「世間」ということになりますが,メモ程度に書き留めておきます。
ミディエーションについて,「アメリカの輸入だから,日本には適さない」という評価をされることがあります。確かに,北米流のミディエーションの方法をそのまま日本に持ち込むということはできないかもしれません。
早稲田大学大学院法務研究科教授の和田仁孝先生の,「仲裁とADR」第1号(仲裁・ADR法学会編)に書かれた論稿「ADR手続における専門性と法情報―日本型法環境とADRの機能―」というでは,日本的特質に合ったミディエーションについての考察がされています。
愛媛和解支援センターでも,民俗学者宮本常一が「忘れられた日本人」で記した,「寄り合い」の文化を研究されていることは,前にも書きました。
われわれの研究会でも,民俗学的なところから,ADRについて見てみたいという話が出て,吉田さんからお話を聞こうということになりました。
大分お話を端折ることになりますが,吉田さんは,日本では,紛争を解決する基準に,「世間」(せけん)ということが意識されてきたのではないか,また,「世間」は,紛争を抑制する圧力にもなっているというようなことを話されました(かなり私の主観が入った話の切り取り方ですが)。
「世間」という言葉は,外国語に翻訳できないそうです。communityという英語はありますが,日本語の「世間」という言葉の意味とはかなり離れています。
なるほど,「世間」とは日本の独特の精神性であり,紛争(解決)と大いに関係のあるもののようです。
研究会の場でも話が出ましたが,ヨーロッパ文化(キリスト教文化)の中には,宗教が人々の精神性のバックボーンにあり,それが社会の秩序を保つ役割をしていると思われます。日本の場合には,ヨーロッパ的な宗教文化はないといってよいと思いますが,この「世間」が秩序維持の役割を持ってきたのではないかとも思えました。吉田さんは,民衆の知恵ではないかとおっしゃっていました。
紛争解決という場でも,「世間」(という観念)が,有形無形の圧力としてあるということを知っておいたほうがよいのではないか,というのが吉田さんのわれわれに対する提案でした。
それはそうだなあと思います。
廣田尚久先生の紛争解決学でいえば,「世間」は,紛争解決規範の一つということになるのでしょうね。
ただ,「世間」という言葉というか観念というかは,今のところ私には漠然としています。抽象的で,広義過ぎる感じですね。もう少し立ち入って解明しなければわからないかな。
ともあれ,紛争解決に関して,日本人の精神文化を見る視点として,「世間」というキーワードは面白いなと思いました。
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