「プロセス」を理解する
2月21日,東京の日司連ホールでの,相談員研修講師養成研修会に参加しました。「ADR」ではないですが,かなり重複したところがあるので,ADRのカテゴリーに入れておきます。
私は,日司連の相談センター事業推進委員会というところにおりますが,同委員会の事業で,司法書士の相談員の資質向上のために,このような研修会が毎年開催されています。
今回のテーマは,シミュレーテッド・クライアント(模擬依頼人)によるロールプレイを通じて「プロセス」を理解するというものでした。非常に面白かった。
午後1時から5時までで,前半は全体で,後半は3つに分かれてのロールプレイを行いました。
講師は,神奈川県司法書士会の稲村厚さん,日司連常任理事の安藤信明さん,日本メディエーションセンター代表理事の田中圭子さん,模擬依頼人は,今村恵理さん,花井睦子さん,土屋一美さん。今村さん,花井さん,土屋さんは,南山大学でコミュニケーションを学んでおられるそうです。
この「プロセス」ですが,一般的な用法とは少し違います。目に見える言葉のやりとり=「コンテンツ」,目に見えない非言語的なやりとり=「プロセス」という使い方です。
”相談”というのは,言葉のやりとりのようですが,実際のところは,言葉に表れていない,目に見えないやりとりが交わされているといってよいでしょう。
依頼者との間でトラブルが生じたりするのは多くがこの「プロセス」というレベルでのコミュニケーションの障害だろうと稲村さんは言います。まあそうでしょうね。
「プロセス」は,目に見えないから,これを理解するのは,理屈の問題ではなく感受性の問題である。これを学ぶには,ロールプレイという方法が一番適している。また,同じ業界人同士のロールプレイは,どうしても相手に遠慮がちになったり,また,前提の考えに同質性があるので価値観の広がりがもちにくい。業界人以外の方に模擬依頼人になってもらうのがよい。看護師や薬剤師,一部の法科大学院では既に導入されている。ということでした。
前半は,「おもしろレジャーランド」というグループでのワーク,後半は,相談ロールプレイと振り返りを2本やりました。
「おもしろレジャーランド」は,グループでパズルを解いていくようなワークです。私もパズルは好きですので,夢中になってやってしまいました。
後で振り返りをすると,「参加したという実感」の度合いがかなり違っていて驚きました。夢中になると隣の人が見えなくなっています。イヤな奴やな,おれ。
ほかの場面でも,自己表現をしたいという欲求が強くなっている自分を見てしまい,やはりイヤな奴やなと妙な自覚をしました。
後半のロールプレイは,私は,稲村さん,今村さんのグループでした。
ロールプレイの振り返りでは,観察者のコメントが,まさに「プロセス」に焦点を当てたものが多く,正直私は驚きでした。すごい優秀やん,て。
グループの人数が16人で時間の割りに多かったので,それこそ参加の度合いも様々ではあったと思いますが。
入江さん,ADR運動,前に進んでるんとちゃうかな。
模擬依頼人の今村さんもとてもよかった。プロセスの理解をするためには,振り返りのときに,模擬依頼人のその時その時の感情を言葉に表現してもらう必要がありますが,しっかりと答えていただき,とてもよい振り返りになったと思いました。
模擬依頼人もトレーニングを積んだ人である必要がありますね。
「ADR」カテゴリの記事
- 3年半ぶり(2021.03.22)
- コンソーシアム(2017.09.29)
- コーチング(2016.08.02)
- モンク先生(2015.07.01)
- 相談員さんとのディスカッション(2015.02.15)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント