「『世間』とは何か」 阿部謹也・著 講談社現代新書
昨年の1月に近畿司法書士会連合会のADR分野研究会で,奈良の吉田智弥さんという方から,「日本では『世間』という独特の精神性があって,それが紛争の解決と関係があるのではないか」というお話を伺いました。
それから,「世間」というワードに関心がありましたが,最近兵庫の乾さんからFBでこの本の紹介があったので読んでみました。
万葉集から吉田兼好,親鸞,井原西鶴,夏目漱石,永井荷風,金子光晴と,日本人が「世間」,「よのなか」をどう観てきたのかということが書かれています。
名著といえば名著なんでしょうが,正直私にはよくわからない内容でした。無駄話が多くて好きになれませんでしたし。
著者は社会科学者であるが,西欧の流れから来た「社会」という概念(自立した個人の集合としての社会)と日本人が日常意識として持っている「世間」とは全く異なるものでありながら,社会科学者がその違いをないものとして客観的に「社会」を論じることに違和感を持ったことから,この「世間」の考察をしたのだということらしいです。
私としては,鎌倉時代の法に「起請文失(きしょうもんしつ)」という条があったということを興味深く読みました。
刑事事件の被疑者が宣誓書のようなものを書いて,その後27日間の内に,鼻血が出たり烏におしっこをかけられたり近親に死者が出たり…ということがあれば,その宣誓書は虚偽とみなされるというような条項です。
とても不合理に思えますが,現在でも喪中欠礼という習慣は普通にあるので,現代人もその時代の精神性とは無縁ではないともいえます。
本書を読んでも,「世間」というのはよくわかりませんでしたが,今後の何かのヒントにはなるかもしれません。
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